タン、と顔の横に手を置かれた。間を置かず、反対側にも。
 壁に追い詰められた形になった彼女の顔がざぁっと青ざめる。

「今度こそは、逃げられないよ?」

 綺麗な金の髪に縁取られた、女性めいた綺麗な顔がにっこりと綺麗な笑顔を浮かべる。
 うっかり隙を見せてしまった自分が悪い。そう、分かっていても、今の体勢には激しく物申したい。

「ちょっ、ちょっと、た、たんまっ、待ってっ!!」
「待たない」
「待ってって、やめてよね、イオス!!」

 必死になって自分の胸を押している黒髪の(外見は)少女に、美人隊長は態と耳元で囁く。

「・・・僕の前で隙を見せた君が悪いんだよ・・・?」
「ひゃうっ」

 耳と首筋に掛かった吐息に咄嗟に首を竦め、その拍子に胸を押していた力も弱まる。

「だから、ね?」

 力が緩んだ隙を逃さず、細いように見えて実はしっかりと筋肉のついた腕が、どんなに戦闘能力があろうとも
実際は細い体を抱き締める。

「諦めるんだね」
「・・・・・っ」

 文句を言おうとした唇は言葉が零れる前に、彼の唇によって塞がれた。



「サモンナイト2夢・連載夢ヒロイン1とイオス」