堕天使


気まぐれで残酷な運命の女神
その繊手に絡む糸に操られ
恋という名の奈落に堕ちる

だけれど その奈落 一人で堕ちはしない

手を差し伸べる
『おいで』
眼差しを向ける
『ここへ』
優しさ偽り呼びかける
『ここへおいで』

不思議そうに瞬く青翠の瞳も
傾け揺れる栗色の髪も
問いかける赤い唇も

全てはこの僕の物 誰にもあげない
そう たとえ君自身だとしても

『さぁ、おいで』

教えてあげる
恋という名の果てない奈落を

『この腕のなかへ』

教えてあげる
恋という名の小さな楽園を

END