太陽を浴びると一瞬金と紛う髪は栗色の絹糸、光の入り具合で緑が強くなり青が勝る瞳は青翠の宝石、勝ち気な笑みが人目を惹く少女
《女王候補生アンジェリーク》
それが彼女の名であり、今現在の身分である。
突然の出会い
楽し気な笑い声が辺りを優しく染める。
先客の存在に彼は首を傾げた。人気の少ない方を選んでやって来たつもりだが、どうやら同じことを考えでもしたらしい人がいるようだ。
そっと木陰から視線を巡らせ、すぐに人影を見つける。
白い繊細な指が天を撫でるように動くと、翼音が広がる。
舞い散る純白の羽根
白い指に白い鳥 周りを誘うように色とりどりの翼を広げた鳥が舞う
種類もばらばらな鳥達が、栗色の髪をした少女の寵を競うように歌う
高らかに、柔らかに、決して人では再現出来ない優しいその歌声
奇跡のようにそこにいる
彼女の周りには全てがある
確証がないのに分かる
全てを愛する広がりに目眩が起こる程に
強く、強く、惹かれていく
ふわり 栗色の髪が膨らみ舞う
絶対の運命を司る女神が糸を紡ぐ
さらり 栗色の髪が頬を撫でる
《運命》を見つけた
涼しい声が漏れる。
「貴方、誰?」
無遠慮な程見据えるその瞳の強さ
「貴方は、誰?」
緑青の瞳が全てを見抜く。
肩を竦めて彼は言う。
「僕は・・・・・ただここに来ただけの芸術家だよ」
「芸術家?画家?」
少し首を傾げる仕草に柔らかな髪がつられる。
「画家でもあるけど、音楽家でもあるし、芸術方面ではけっこうイイセンをいってるってよく言われているんだけど」
何処となく誇るどころか吐いて捨てるような冷たい声は、彼が人の賛辞を受け入れ難い性格なのだと暗に他者に伝える。本人の自覚は皆無だが。
「次は君の番だよ」
「私は女王候補生で、名前はアンジェリーク。よろしくね、芸術家さん」
悪戯に輝く青翠の瞳と皮肉な口元がアンバランスで、彼女がここに来たのは本人の意思ではないような印象を与えた。
ぽつりぽつりと少女は語る。
「私は女王になんて、ホントはならなくてもいいのよ。なりたい人がなればいいわ。レイチェルなんて、もう一人の女王候補なんだけど、実力もバッチリだし、彼女は本気でなりたがってるの。そういう、本当に女王になりたい人、なった時にそのことを幸せだと思える人がなればいいと思うのよね」
膨れた横顔を見ながら、彼は先程までの近寄り難い女神の姿を思い出す。優しく麗しく気高く、だが、決して高みから見下ろすような人ではない。
「君が女王になったら、随分型破りになりそうだ」
だけど、それは悪いものじゃない。親しみやすい、身近な女神だっていいと思う。
「だから、私は本当はなりたくないのっ。女王なんて、絶対窮屈よ。一人で決めて、それを実行するだなんて夢のまた夢。勿論、純粋に憧れる気持ちはあるわよ。今の女王陛下を近くで見た時、本当に綺麗で、だけど何だかそれだけじゃない人だって、思ったの。そんな風になれるのなら、なってみるのもいいかもしれないと思ったんだけど」
重いため息が漏れる。
「だけど、女王がどんな存在か、調べる度、知る度に、そんな気持ちがなくなったわ。だって、女王は宇宙を愛する人だから、在位期間中は決して誰も、個人的には愛してはならないだなんて、私なら無理よ。今の陛下は、それが出来る人、もしかしたら、世界よりも大切な人がいるかもしれないけど、その心をその人を守りたいと願う心を、世界を支える気持ちの根源に出来る人なんだわ」
『私には無理だけど』と膝を抱えて彼女は言う。
「なら、女王候補、辞めてしまえば?」
「随分冷たい言い方ね」
拗ねたように答えながら、表情が裏切る。楽しそうに笑っている顔は、とても近くに存在する。
「そう出来たらいいんだけど、駄目なのよ。生まれつきのこの性格が邪魔するの。それに、ここに送り出してくれた皆のことを考えると、帰れなくって」
目元が勝ち気さを、口元が気丈さを現す少女はそう言う。
「だったらやってみればいいじゃないか。女王になるかならないか、その可能性はイーブンなのに、今から女王になった後のことを考えるのは早計じゃないのかい?」
「そうね。分かってる、分かってるんだけど」
膝に顔を埋めて、細い肩が震える。
突然の運命に脅え続けていた小さな魂
何も知らない、二度と会うこともないかもしれない人だから、全てを吐き出すように少女は話した。
生来の性格は勝ち気で、だけど、本当はそれはただの鎧でしかなくて、その内側で小さな子供のような心が膝を抱えているのに、誰も気がついてくれなかった寂しさに、少女の瞳が濡れていく。
「怖いんだもの、私、こんなところにいていいのかって、不安なのよ。突然だったわ、突然聖地に来るようにって、女王陛下のお召しがあって、周りだけが勝手に騒いで、私は一度だって『行きたい』だなんて、言ってないのに。うぅん、女王陛下のお召しだって、それを聞いたのは私じゃない、私はその時にいなかったから。だから、自信が持てない」
誇り、プライド、矜持 彼女のたった一つ最大の砦は、波に攫われる儚い砂の城
「もしも、間違って選ばれてしまった私が、もしも、女王になってしまったら?そんなことないって、その座に相応しくない人が女王になる筈がないって、分かってるけど、自分に自信が持てない今は、全てが悪い方向に先走るの」
女性の慰め方だなんて、特にこんな子供みたいに泣く女性の慰め方だなんて知らない。狼狽える視線の先の少女に、どんな言葉を送るべきなのか分からず、更に狼狽える。『大丈夫だよ』なんて、言ってはならないことは、分かる。彼女が訴えるのが、自分自身に対する不信感から来る不安なのだから、そんな慰め方はかえって傷つける結果になるだろう。
「負けたくないわ」
ふと、声が変わる。
「私は私に、負けたくないわ。だから、女王候補を辞めない。辞められない」
弱さを強さに変えようとする、意志
涙の零れる横顔が上げられる。
ふわりと、触れる。
「君は女王試験をちゃんと受けるべきだよ」
触れたばかりの唇を動かす。抱き締めて、囁く言葉は何処から出ずるのか。
「どうしても、自分が女王の器ではないと思ったら、その時になって辞めてしまえばいい。試験終了ぎりぎりだって、まだ試験期間中なんだから、辞めることが出来るさ」
「そうなのかな?」
「多分ね。・・・・・そうだ」
不安に揺れる大きなブルーグリーンの瞳に、優しく笑う端正な顔が映る。
「その時理由が必要なら、僕と駆け落ちでもしない?」
「!?」
大きな瞳が零れんばかりに開かれ、弾けるように彼女は笑い出す。
「そうね、お相手を頼めますか?」
クスクス笑う頬に親愛のキス
「頑張るんだよ」
「うん」
勝ち気な瞳が、蒼天を映して青く染まる。
「約束」
子供のするような、指を搦めてする小さな約束だった
そして、再会
女王試験も第二段階に突入し、改築され新たに《学芸館》と呼ばれることとなった建物に栗色の女王候補の姿が消える。
「今日和、始めまして、感性の教」
入室許可の声に扉を開き、女王候補の任を正式に下された女王謁見の儀に来ていなかった感性の教官に挨拶をしながら入って来た少女は、唖然とした顔で立ち止まる。言葉も途中で途切れたけれど、それにも彼女は気がつかない。意識は全て、目の前の青年に奪われていた。
「やぁ、僕は《感性の教官セイラン》。改めて、始めまして」
端正な容貌に笑みを浮かべて立つ、芸術家
「・・・・・何で、何であの時教えてくれなかったんですかぁ!?」
少女の大絶叫が辺りに響く。
「その反応が見たかったんだよ」
ケラケラと笑いながら近づく教官の姿に、怒りの鉄拳をお見舞いしてやろうかと、半分本気で少女は拳を握る。
「っとうに、性格が悪いですね」
鉄拳制裁は流石に今後の関係に多大な影響を及ぼすだろうと、少女は何とかぼやくことで鬱憤を晴らす。
「よく言われるよ」
余裕でかわして、彼は優しく微笑む。
「・・・・・あれから、頑張ったんだね」
形のいい長い指が柔らかな髪を撫でる。
「えぇ」
短く答えて、にっこり笑う瞳には、迷いがない。
「あの時全部吐き出して、楽になりましたから」
「それはよかった」
クシャクシャと撫でる白い指に、子供のように少女が唇を尖らせる。
「・・・・・手、退けてくれませんか?私そんなに子供じゃないですよ」
「ピーピー泣いていたのは何処の誰だい?」
「・・・・・っ!!」
「はいはい、ゴメンよ。さ、学習に来たんだろう?授業を始めよう」
怒り出す前に少女の手を引いて彼は二人用の机に向かい、怒りが不発に終わったが、それはそれで仕方がないと、少女は返事を返した。
ほんのちょっとした仕草で、肩が触れる。心臓によくないこの状況で、ありったけの理性で自分を縛り付ける。いい加減慣れてもいい頃なのに、相変わらず鼓動は早鐘を打っている。
「では、今日はここまで」
「はい。有り難うございました」
晴れやかに笑う姿に、胸が痛い。そう仕向けたのは、女王になる道を示したのは自分なのに、今更こんなに胸が痛むだなんて。
「そうだ、セイラン様。今度の日の曜日、あそこに行きませんか?」
帰り支度をして、椅子から腰を浮かした少女がまだ座ったままの教官を見下ろす。
「そろそろ白詰め草が満開の筈なんですけど、一人で行くのも寂しいですから、一緒に行ってもらえると、嬉しいです」
具体的な地名だとかを言われずとも、すぐに察した彼は頷く。
「いいよ」
「よかった。お弁当作りますね。何がいいですか?」
「美味しければ、何でも」
「プレッシャーが、どっすん、て感じですね」
「頑張るんだよ」
クスクス笑うセイランに、アンジェリークもまた笑い返す。
「はぁい。では、さようなら」
「気をつけるんだよ」
「はぁい!」
元気な声音が学芸館に響いた。
一目で惹かれた女神は笑う
女神を慕う空行くモノは その指先に
クルクルと回る姿は舞うが如く
募る想いは悲鳴を上げる
『女王候補なんて辞めてしまえ!』
叫ぶことが出来たらどれ程楽になれるのだろう
自分が 他ならぬ自分が
女王へと至る道に脅えていた少女の背を押したのに
こんなにまで後悔する日が訪れるだなんて
あの時は少しも考えなかった
ただ泣いている少女が可哀想で ただ慰めたかった
純粋にそれだけが望みだった
太陽が昇る度 日が沈み夜が訪れる度
想い願うのはただ愛しい女神の横顔
意識を全て乗っ取られ
鳥と戯れ憩う姿
微笑み浮かべて振り返り
手を差し伸べる
その愛しい幻だけを抱き締める
日毎夜毎に募る想いは
何処より出でて 何処へ帰りしか?
微睡みのなか 自分だけに向けられる微笑みを想い描く
若草でいっぱいの草原に、敷布も広げず座り込む。
並んで座った少女の髪が風に揺れるのを流した視線が捕らえる。
ここに、こうしていられる機会も、もうないだろう。別な宇宙は自らの女王を受け入れるべく着々とその安定を増している。
『側にいて欲しい』
その一言が、何度言おうとして、言えなかったことだろうか?初めて出会った時に、その背を押したのが自分であるという枷が何時までもつきまとい、唇が動いても空気が動かない。
「明日育成をしたら、女王になります」
真っ直ぐに前を見つめ、横顔だけを見せる少女がそう言った。
死んでしまえたらいいのに。こんな想いを抱いたまま、彼女に二度と会えないままに生きていくのは辛すぎる。
「もう女王になることに迷いはないんだ?」
横顔が強ばる。ゆるりと向けられる顔は、切なくて。
「迷いですか?ありますよ。このまま、愛し育てた世界を壊してもいいのかと、思わずにはいられません」
切ない笑みと、涙のその落差
「知ってますか?好きな人がいても即位は出来るんだそうです。出来た後が問題なんですって。心に十重二十重の戒めの鎖をかけて、忘れるか、その心を宇宙を支える思いの根源に出来ればかまわないんですって。好きでいること自体は、秘められ、誰にも分からなければ、いいってことらしいんです。・・・・・だけど、私には出来ませんから」
少し言葉を切って、彼女はほのかに笑う。
「私、これから補佐官様に願い出て、そのまま、家に帰ります」
『だから、ここに来たかった』 呟きは風に乗り、空へと翔る。
「何を言って、何を言っているのか分かっているのか!?」
青天の霹靂としか言いようがない言葉に青年が声を荒げる。
「えぇ、分かっています。・・・・・私を慕ってくれるアルフォンシアを裏切って、私は女王候補を降ります。考えて、考えて、だけど、好きな人のいない世界を支えることなんて出来ないと結論が出たんです。いいえ、それ以前に、そんな風に想いを断ち切ることも出来ないから、その人が別宇宙にいてくれても、やっぱり女王にはなれません」
きっぱりと言い切る、自らの涙に気づかない瞳
「駄目だ、そんなこと許さない」
頑是ない子供のようだと、自分でも分かる。
「後一日、後一日一緒にいられるって、そう思っていたのに」
端から見れば滑稽な程取り乱している。こんな別れなんて、想像していなかった。
「そんな風に言わないで下さい。どうせ別れるなら、早い方がいいと思いませんか?」
「思わない!」
取り乱して、取り乱して、子供を宥めるような調子の彼女の言葉を否定する。
求め焦がれて気も狂わんばかり
困ったような顔で、今もまだ泣き続ける瞳が自分だけを映す
白い手が、そっと触れる。瑠璃の髪を優しく撫でて、何時もとはまるで逆だ。
「セイラン様はもっとお強い方でしょう?どうなさったんですか?」
優しい声に、すがりつく。置いて行かれたく、なかった。
「行かないで、帰らないで、側にいて」
驚いた顔が見上げている。
「僕じゃ駄目かい?」
狼狽えておろおろしていた少女は、次の言葉に硬直する。
「君が好きだよ」
あの時みたいに抱き締めて、だけどあふれる想いは違う。あの時は純粋な憐憫の感情が勝っていた。だけれど今は、恋い恋うる想いがあふれている。
運命を司る女神の糸に操られ、僕は彼女を愛した。
一目惚れと呼ばれる、一生一度の恋をした。
自分だけの《運命》を見つけた。
なのに、それなのに、その《運命》が離れて行くだなんて、絶対に認められない。
「君を愛している。だから、女王候補を辞めたからって、帰るだなんて言わないで」
「・・・・・セイラン様」
「ん?」
「じゃあ、どうしてあんなに熱心に教えて下さったんですか?ずっと、セイラン様は私を女王にしたいのだと、そう思っていたのに。どうして、今まで全然そんな素振りも見せてくれなかったんです!?」
襟元を掴まんばかりの勢いで少女は言い募る。
「どうして、やっと、やっと、心の整理がついて、セイラン様から、離れる決心をしたのに!?」
『遅いです!』と叫ぶ。
「もっと、早く言ってくれたって、よかったじゃないですか!?」
腕の中で怒り出した少女の様子に驚いていた青年は、掠れる声を投げかける。
「それは、その言葉は、君も僕が好きだって、言っていると思っていいのかな?」
瞬間の少女は、端から見ていると面白い程劇的に狼狽えた。
怒りに染まっていた顔から一気に血の気が失せたかと思えば、次の一瞬には顔が真っ赤に染まり、見上げていた顔が刹那の素早さで下へと背けられる。
「あ、あの、それは」
「君が言っていた好きな人って、僕のことなのか?」
「えっと、だから、その」
「アンジェリーク」
答えを請う声に、少女は観念する。
「ずっとセイラン様が好きでした。多分、初めて会った時、何もかも全部話して、素直になれた瞬間に、セイラン様を好きになりました。それで、セイラン様以上に宇宙を愛せないから、セイラン様がいない世界なんて支えられないから、だから、女王候補を辞めようって、決めたんです」
「なら、僕からも言わせてもらうよ。何で、君も僕にそれを言わなかったんだい?」
「・・・・・ですから、セイラン様は私が学習に行くと、とても熱心に教えて下さるから、てっきり私に女王になってもらいたいのかと」
ポソポソ喋る姿は、普段の気丈さからかけ離れているのだけれど、
「私、ちゃんと言わなかった理由を言いましたから、今度はセイラン様ですよ」
青年の服の胸の辺りを握って、少女が青年の群青の瞳を睨むのはとても彼女らしい。
『言ってくれなきゃ、拗ねちゃうぞ』という、何とも可愛らしい脅迫をしているブルーグリーンの瞳に苦笑する。
「初めて会った時、偉そうに『女王試験をちゃんと受けるべきだ』なんて言っておきながら、そんなに簡単に言えるわけないじゃないか」
ツンッと額をつくと、のけ反った少女が生来の勝ち気さで怒り出す。
「だから、私そんなに子供じゃないですったら!」
「はいはい、分かってるよ」
「もぉ!」
軽くかわす言葉に更に怒り出す少女だが、青年は軽やかな笑い声を上げる。
「そんなに怒らない怒らない」
「怒らせているのは誰ですか?」
「ちゃんと責任は取るから」
「どんな風にですか?」
「一緒に補佐官様にお会いして君とのことを話して、一緒に聖地を出る」
「駆け落ちですか?」
何時か、青年の言った台詞を思い出しながらそう言う。まさか本当にそんなことになるだなんて、あの時はまるで思わなかったけど。
「了解を取ったら駆け落ちじゃないなぁ。取れなかったらそうだけど」
忘れているかもしれないが、この二人、さっきからずっと抱き合ったままである。青年の指が栗色の髪を撫でている。
「何にしろ、僕が君の一生については保証するよ」
「・・・・・それって」
「いきなりだから上手く言葉に出来なかったけどね、プロポーズのつもりだよ」
自分の服を掴んでいる指を、さっきまで梳いていた指で外すと、中指にキスをする。姫君に騎士が永遠の忠誠と愛を誓うように。
「今度ちゃんと申し込むけど、一応答えが聞きたいな」
「ほ、本気ですか!?私まだ高校生ですよ!?」
慌てている様子が殊の外面白かったのか、何時もは涼しいを通り越して冷たく相手を見る視線を和ませ、彼は頷いた。
「本気だよ。君の希望に如何によってはそのまま僕の育った霧の惑星に連れて行きたいんだけど?」
『来るかい?』 問う眼差しに、唖然と台詞を聞いていた少女は、破顔した。
「行きます!」
ぎゅっと青年に抱き着いて、幸せに笑う。
運命司る女神の糸に まんまと嵌まった二人は
たとえ仕組まれた出会いでも 恋だとしても
共に幸せだと想える大切な人を手に入れた
「君だけを幸せにはしてあげられないよ。僕だって幸せになりたいからね」
笑う瞳が映す少女は頷く。
「勿論です」
見交わす瞳に互いを映し、二人は初めて恋人のキスをした。
END
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