メイドさんいらっしゃい


 黒いフレアタイプのワンピースに白い襟と袖。
 ヒラヒラレースの白いエプロン。
 白い靴下、黒い靴。
 とどめは白のレースのカチューシャ。
「・・・なに、これ?」
 正真正銘、正統なメイド服を前に、少女は唖然と呟いた。

 少女が街外れの古い洋館の玄関を叩いたのは、昨日の夜の事だった。
「・・・誰?」
「私、アンジェリークと言います。住み込みのお手伝いの募集広告を見て、ここに来ました」
 無愛想に問うた、蒼い髪とシアンブルーの瞳の美貌の青年に怯む事も見とれる事もなく、栗色の髪とサファイアの瞳の少女ははきはきと答える。
「広告?・・・ああ、あれか」
 一瞬、眉を顰めた青年だがすぐに思い出したらしく、得心したように頷いた。
「で?君はそれを見て、ここに来たって訳か。・・・随分と非常識な時間だと思わなかったのかい?」
「確かに、そう思いましたけど。言い訳をさせてもらえるのでしたら、私、方向音痴なんです」
 肩を竦めながら言った少女の言葉に、青年は思わずその顔を凝視した。
 意志の強そうな瞳、青年の皮肉気な言葉に怯む事のない、はきはきした口調、いかにもしっかり者というイメージがあるだけに、その単語のギャップは激しい。
「方向音痴・・・つまり、ここに来るまでに迷ったという事?」
 青年の問いに頷く少女。
「それはまぁ・・・しょうがない、か。・・・とりあえず、中に入ってもらおうか。いつまでもここに立っていても仕方がないからね」
 すっかり毒気の抜かれた青年に促され、彼の家の中へと少女は足を踏み入れたのだった。

 少女が通されたのは居間らしき場所。暖炉には火がともり、パチパチと暖かそうな音を立てている。
「僕はセイラン。この家の主だ」
 応接セットであろう、ソファに向かい合って座り、青年はそう切り出した。
「君の仕事はこの家の家事全般。かなりきついと思うけど、やっていけるのかな」
 挑発するような、試すような言葉に、少女はケロリと答える。
「自信がなければ、この仕事を選んでいません」
 その答えは青年を大いに満足させたらしい。軽く頷いた青年は立ち上がり、少女に手を差し出す。
「いい答えだ。気に入ったよ。どうやら君は、その辺にいる女性達とは違って、僕に見とれる事はないようだし、年に似合わず仕事に対するプライドと責任を背負えるらしい。そういう人物なら、安心して家の事を任せられる。これから、よろしく頼むよ」
 差し出された手を立ち上がって取り、握手をしながら少女はニコリ、と笑った。
「はい、こちらこそ、よろしくお願いします」

 それが昨日、セイランと名乗った青年と交わされた会話だった。
 その後、簡単に家の中を案内され、青年の生活リズムや習慣などを質問し、答えを頭に叩き込み、次の日からの段取りを考えていたのだが。
 朝、目覚めた少女が部屋にある机の上の服に気づき、広げてみた途端、硬直したという訳だ。
 家自体が古い洋館なので、この服はあまりにも嵌まり過ぎている。
「あの方っていったい、どういう方なのよ」
 ここに置いてあるという事はつまり、これを着ろという事で。
 冗談にしては、たちが悪い。だが、冗談を言うような人物には見えなかった。どちらかと言うと、嫌味や皮肉などがポンポンと機関銃のように飛び出す人物だ、あれは。
 だとすれば、本気か?
「・・・更に、悪いわよ」
 男性諸氏が泣いて喜びそうな(笑)正統派メイド服を前に、
(勤め先・・・間違えたかしら)
 と、本気で少女は考えた。

「やぁ、似合うね」
「・・・おはようございます、セイラン様」
 いの一番に掛けられた声に、なんとも複雑な顔をして少女は頭を下げる。
 実際、黒いメイド服は少女によく似合っていた。レースのヒラヒラ具合がなんとも可愛い。
「・・・お席にどうぞ。カフェイン系はお嫌いでしたよね?オレンジジュースになさいますか?それとも、ミネラルウォーターを?」
「薄目の紅茶なら、飲めるよ。今朝はそれにしてくれるかな」
 複雑な顔をしながらもテキパキとその手は仕事をこなしていく。
 テーブルの上には焼き立てらしいパンと暖かい湯気を吐いているスープ。コールスローサラダにカリカリベーコン、スクランブルエッグ。そして、ジャムを乗せたヨーグルト。
 青年の求めに応じ、紅茶を入れた少女は今日の予定を訊ねた。
「とりあえず、一日アトリエに閉じこもるよ。仕上げたい絵があるからね」
「昼食はどうなさいます?」
「適当に持ってきてくれればいいよ」
「分かりました」
 青年の給仕を務めながら少女は頷く。
 こうして、少女のお手伝い−メイド、か?−としての生活が始まった。

 パタパタと家中を走り回る音がする。
 たった一人、増えただけだというのに、青年の家の中は随分と賑やかになった。
 掃除の音や台所の音が休みなく続く為に、その生活音だけで少女が今、どこで何をしているのかだいたい分かる。
 基本的にうるさいのは嫌いな青年だったが、少女が動く音はある種のリズムがある為、気にはならない。それどころか音楽的にさえ聞こえるのだから、不思議である。
 ふと手を休め、その音に耳を傾けるとうっすらと広がるような安らぎを感じる。まだ、ほんの数日だというのに、少女はすっかりこの家に馴染み、溶け込んでいた。

 ピンポーン。
 軽やかに鳴るチャイムの音に、少女はパタパタと玄関へと向かう。
「はい、どちら様でしょうか?」
 玄関の扉を開けた、黒いメイド服があまりにも似合い過ぎる可愛い少女の姿を見た相手は、硬直した。家も古い洋館なので、その格好はとてつもなく嵌まり過ぎている。
「えっと、その、あんさん、ここのお人かいな?」
 不思議なアクセントと言葉遣いをする萌葱色の髪とモスグリーンの瞳の青年に、少女は答える。
「この間から、ここに務めさせていただいている者ですけど」
 その答えに、ポンッと手を打つ青年。
「ああ、あんさんが噂のメイドさんやな。いやぁ、会えて嬉しいわ」
 ・・・明るい。ひたすら、明るい。明るさの迫力に押されるなど、ほとんどない経験である。
「街の方でえらい噂になっとんや。あの、芸術家の家に二週間も続けて務めることが出来ているメイドさんがおるってな。そぉか、あんさんがなぁ」
「は、はぁ・・・あの、それで、御用はなんでしょうか?」
 萌葱色の青年の勢いに押され気味ではあったが、なんとか繰り出した質問に青年はにこやかに答えた。
「ああ、あんさんのご主人様にちっと用事があるんや。悪いんやけど、取り次いでもらえんやろか。俺はチャーリーってもんやけど」
「分かりました。呼んできますので、中でお待ちいただけますか?」
「ありがとな、メイドさん」
「・・・あのー、できれば、その、『メイドさん』って呼びかけ、やめていただけます?私、アンジェリークって言いますから」
 はっきり言って、『メイドさん』の連発は無茶苦茶恥ずかしいのだ。着ている服が服だけに、恥ずかしさは倍増する。
「へえ、アンジェリークって名前なんか。可愛い名前やなぁ。な、今度、俺の店に来ぉへん?ええもんぎょーさんあるで」
「・・・取引相手の家で、しかもその家の者をナンパするとは、いい度胸じゃないか?」
 客を通した居間の入り口から、滑らかなテノールの声が響く。視線を向ければ、不機嫌そうな顔をした家の主人がそこに立っていた。
「あれ、出てきたんかいな」
「あれだけ騒いでいて、気づかない訳がないだろう」
 滑るように近づき、蒼色の青年は客の真向かいに座る。
「アンジェリーク、お茶を頼むよ」
 主人の注文にすかさず頷き、少女は部屋を退出する。
「随分、ええ子を雇ったんやな」
「まぁね。あの子が今までで一番居心地の良い子だよ。さて、話を聞こうか」
 切り出した言葉に、今までおちゃらけていた客の雰囲気が変わる。数枚の書類を出した萌葱色の青年はそれを蒼色の青年に渡した。そうして、しばらく話をしていた二人だが、書類に蒼色の青年がサインを記し、萌葱色の青年に返したところで商談成立とでもいうのだろうか、また、客の雰囲気が軽いものに変化した。実に、切り替えの早い青年である。
「アンジェリークっていったな、あの子。どんな子なんや?」
「僕が詮索されるのが嫌いだって事、知らない訳じゃないだろう。それでも聞くのかい?」
「そうや。興味あるやんか、あんさんみたいな気まぐれなお人に二週間も仕事を続けられるんやから。それにあんさん、気まぐれなだけやない、えらい皮肉屋でもあるやんか」
 歯に衣着せぬ、ポンポンと言いたい事を言っている事から、この二人がかなり親密であることが伺える。
「お茶をお持ちしました」
「ああ、ありがとう」
「なぁ、なぁ、アンジェリーク。このお人のとこで働いていて、どんな感じや?」
 突然の質問に、紅茶とお茶菓子をテーブルの上に置いていた少女はキョトン、とした。
「はぁ?どんなって・・・」
「せやから、御主人さんがえらい気まぐれや、とか、綺麗な顔してすごく意地悪や、とか」
 主人の客の例えに、少女は目を瞬かせる。
「別に・・・気にしませんけど。確かに、綺麗なお顔をなさっていますけど、私にとってはそれだけですし、第一、そんな事に振り回されていたら、仕事なんて出来ませんもの」
 今度は質問した方の青年が目を瞬かせる番だった。
「こりゃ・・・驚いた。この年でマジに根性入ったプロ意識とプライドや。いやぁ、感心やなぁ」
 当の話題にされている青年はといえば、澄ました顔で紅茶を口にしている。しかし、その口元は僅かに緩み、少女の答えに青年が満足している事は、明らかだった。

 月が中天に昇った深夜。
 何の拍子か、少女は深い眠りから意識を引き上げられた。
 夜中に目覚める事などほとんどないだけに、少女は戸惑い、周囲を見回す。
 深い蒼に染まった部屋には何の変化もなく、少女の意識に引っ掛かるような変化はない。とりあえず水を飲みに行く事にして、ガウンを引っかけ、台所へと向かった。
 コップに水を汲み、それを飲み干して一息ついた時、少女の耳に何かが倒れるような物音が聞こえた。
「あの方向は・・・セイラン様の部屋?」
 目を覚ましたのも何かの物音だったと思い出した少女は、慌てて青年の部屋へと足を向けた。

 コン、コンコン。
「夜中に失礼します、セイラン様。何か音が・・・セイラン様!?」
 遠慮がちに開いた扉の内側、部屋の中央あたりで青年が力尽きたように倒れている。側には絵の道具が散乱しており、青年が急に倒れた事を教えていた。
 慌てて駆け寄り、青年の頭を抱えるとその額は火のように熱い。
「そういえば、このところ毎日、真夜中まで絵を描いていらしたわ」
 主人の体調に気づかなかったのは何とも不覚、と唇を噛んだがとにかく今は、この青年をベッドに運ぶ事が先決である。
 だが。
「・・・どうして、こんなに細いくせに、こんなに重いのよぉ」
 自分の背中に担ごうとして、あまりの重さに潰れそうになった少女の台詞である。別に、青年が重い訳ではない。唯、小さな少女が担ぐには、普通の青年の体重は荷が重いだけで。
 それでも、なんとか、ヨロヨロしながら少女は青年をベッドまで運ぶ事に成功した。
「・・・えっと、着替えと、タオルと・・・」
 汗をかいている体を拭き、清潔な寝間着に着替えさせる。それだけで、少女の無け無しの体力は使い果たされそうだった。青年はといえば、余程熱が高いのだろう、少女にゴロゴロと体を転がされてもまったく起きることなく、意識がさめることがない。
「ほんとに・・・夢中になられると、自分の体調もお構いなしの方なんだから」
 呆れたため息をつきながら、青年の枕元で少女は看病を続けるのだった。

 ひやり、とした冷たい触感に意識がぼんやりと覚醒する。
(・・・気持ち良い)
 ひんやりと冷たいタオルと、ふんわりと柔らかい、暖かい手の感触が気持ちよくて、離れていく手を無意識に掴んだ。
「セイラン様?目が覚めましたか?」
 柔らかく響く声に安心して、掴んだ手を胸の中に抱き込む。
「セ、セイラン様?」
 戸惑ってはいても、その声はやはり、優しくて柔らかくて。何故だか、とても安心できる。
 ふわふわした感覚のまま、また、眠りに落ちた。

 少女の手を掴んできた、熱で熱くなっている白い手に少女は起きたのかと思い声をかけるが、返答がない。どうやら、まだ半分は意識がない状態のようだ。
「え、え?」
 そうこうするうちに掴まれた手を胸の中に抱き込まれ、更にはベッドの中にまで引き摺り込まれる。
 割と冷静に物事を対処できる少女もこれには驚き、慌ててベッドから出ようとするが青年はそれを許しはしない。
 まるで、何かにしがみつくような、子供が縋るような抱き着き方に少女も邪険にはできず、しかたなく青年の熱で熱くなっている頭を抱えた。
 母性本能を刺激されるとでも言うのだろうか、安心しきった顔で少女に頭を預けている青年の姿に、自然と笑みが浮かぶ。
 優しく、柔らかく、少女は青年の頭を撫で続けていた。

「あ・・・ふ」
 小さく欠伸を漏らし、青年はぼんやりとしたまま、目を覚ました。
 昨夜、かなりだるかった体を騙し騙し絵を描いていたのだが、何時の間にベッドに潜り込んだのだろう?
 だが、おかげで澱のように体に溜まっていた疲れがすっかりとれている。
「!」
 ふと、自分が何か柔らかい物に抱き着いている事に気づき、視線を向け・・・そして、絶句した。
 腕の中にはすやすやと安らかな寝息をたてている、小さな少女。
 少女の手は青年の頭に置かれ、小さな、白い顔はちょっと青年が動けば口付けが出来そうなほどの至近距離にある。
「どうして、アンジェリークがここに・・・」
 ふと、思い出した。夢の中で、優しく、柔らかい手が宥めるように何度も自分の頭を撫でていた事を。
 その手に安心して、甘えるように縋り付いた事を。・・・夢だと思っていたからこそ、出来た事。けれど、夢では、なかった?
「アンジェリークがいてくれたのか」
 腕の中にいる顔を見つめ、青年は呟いた。
 不思議な少女だった。くるくるとよく動く体と表情。妙に冷静で、物事をあるがままに受け止める希有な心を持っていて。時に強気な発言をするかと思えば、呆れるくらい無邪気な行動を起こす、びっくり箱のような少女。
 そして、不思議な安らぎをくれる少女。
「でも、ここまで惹かれたのはそれだけじゃない。肩書きも、外見も、何もかもひっくるめた、僕という個人を素直に見てくれたからだよ。」
 肩書きに群がる愚かな者達を大勢見てきた。この外見のみで勝手に好意を寄せてきた女性達を見てきた。だが、この少女は。
「僕をセイラン個人として見てくれたのは、君が初めてだよ、アンジェリーク」
 衝動的に、口付けたい欲求に捕らわれる。感情のままに、柔らかな薄赤い唇に自分のを重ね、そして求める。甘い・・・甘い、唇。
「・・・ん・・・」
 僅かに唇を離した時、微かな吐息が漏れ、少女の瞳が開かれる。そして。
「セイラン様!?」
 少女の唇から零れたのは驚愕の声。自分に口付けていた青年の顔を引き剥がし、一緒に寝ていたベッドからも飛び出した。だが。
「・・・手を、離してください」
「いやだね。そうしたら、君は逃げてしまうだろう?」
 ベッドから飛び出したものの、すかさず青年に手首を掴まれ、少女はそれ以上動く事が出来ない。
 それどころか再び引き寄せられ、腕の中に抱き締められてしまった。
「離して下さい、セイラン様」
 少女の静かな口調の言葉の中に、怒りが見え隠れする。自分の力が足りず、意のままにされる悔しさがそのまま口調に溢れている。
「私は、この家のお手伝いとして来ました。決して、セイラン様の無聊を慰める為に来たのではありません」
「当たり前だよ」
 間髪入れない青年の言葉に、少女は意表を突かれた表情をした。
「僕が、そんな俗な感情で君に口付けたとでも言うのかい?とんでもない、それこそ冗談じゃないね」
 訳が分からない、と顔に書いている少女の顎を人差し指で持ち上げ、視線を合わせる。
「君が、好きだよ」
 静かに言われた言葉の意味が分からないのか、少女は目を瞬かせる。
「僕を僕として見てくれる、君が好きだ」
 そして、口付け。甘く触れる感触に、ようやく少女の頭が回転し始めたようだ。
「私・・・が?」
「そう、君が。アンジェリーク、君は?」
 少女が自分の事を嫌っていない事は分かっている。だが、それ以上の事は分からない。突然の事なのだ、否定されるかもしれないと半分覚悟していた青年の耳に届いたのは。
「好き・・・です」
 小さな、声。真っ赤な、頬。
「セイラン様って、どうしても放っておけないんです。創作に夢中になられると、もう、危なっかしくて。でも、そうやって仕上げた作品を見る時のお顔って、すごく綺麗なんです。外見の事じゃなくて、なんていうか、充足感に満ちた顔っていうか。それを見たら、後の事はどうでもフォローするから、好きなように創作活動を続けて欲しいって思うようになって」
 気がつけば、好きになっていた。
 でも、この仕事で主人に恋心を持つのは厳禁。だから、持ち前の意志の強さでその気持ちを心の奥に封印した。
「・・・驚いた」
 日常生活の中で、まったくそのことを悟らせなかった少女の理性の強さに感心する。
「これからも、僕の世話を頼めるかな?」
「もちろんです。けれど」
 するり。
 見事なまでに青年の腕の中から抜け出した少女はべっ、と奇妙に子供っぽい仕草で舌を出してみせた。
「夜のお世話まではしませんから」
「アンジェリーク!?」
「悔しかったら、その気にさせてみせてごらんなさい」
 高らかに宣言する、一筋縄ではいかない少女の言葉に青年は苦笑する。ほんとうに、びっくり箱のような少女だ。
「覚悟、しているんだね」
 呟いた青年の言葉が少女に聞こえなかったのは、良かったのか悪かったのか。
 ただ分かるのは、少し変わった毎日が始まるという事だけ。

「おはようございます、セイラン様」
「おはよう、アンジェリーク」
 新しい朝が始まる。

END


おまけ

「あの、前から聞きたかったのですけど」
「何だい?」
「どうして、このメイド服がお仕着せなんですか?」
「そりゃあ、この家に合わせてさ。その方が、この家の雰囲気に合っているだろう?」
 きっぱり言い切る青年に、合い過ぎるから嫌なんです、とはとうとう言えなかった少女だった。