My Angel〜風に乗せる勇気〜


『アンジェリーク、俺が好きかい?』
『ええ、大好きですよ、ランディ様』



 君は笑顔でそう言ったけど、だけど、俺が本当に欲しかった言葉じゃないってこと、分からないだろうね。



 初めて君を見た時から、気になっていた。
 明るくて、元気で、いつも笑顔でいる君。
 そう、いつも見ていたよ。

 少しドジで、おっちょこちょいで。
 だけど、意外と負けん気が強くて。
 絶対に諦めないと呟いていたのは、いつだっただろう。

 優しくて、可愛くて、笑顔が眩しくて。
 ・・・気が付けば、こんなに好きになっていた。
 もう、君から目が離せない。



 でも。
 今の君はエリューシオンのことで頭が一杯だね。
 好きという感情はすべて、あの地へと向かっているように見える程。
 エリューシオンに嫉妬してしまうぐらい、君の話はいつもそのことばかり。



『ランディ様の勇気がエリューシオンの皆に伝わったんです!』

 頬を紅潮させて、嬉しそうに離す君。
 本当に嬉しそうだから、俺も笑顔で答える。

『そうか、良かったな、アンジェリーク』

 本当は苦しいのに。君のことを想うだけで、こんなに苦しいのに。
 だけど、君の困った顔を、悲しい顔を見たくないから。
 俺は君の愛するエリューシオンへと勇気を贈るよ。



 アンジェリーク。天使のような女の子。
 君が望むなら、俺は出来る事なら何でもするよ。
 君が笑顔でいられるのなら、風に乗せる勇気を君にも贈るよ。

 そして、何時の日にか。
 俺は君に伝えるだろう。
 俺の司る風に乗せて、君に伝えるだろう。
 風に乗った勇気と共に。



 アンジェリーク、愛しているよ。





END