in the Dream〜Prologue〜
「う、うーん・・・」 カーテンの透き間から光が射し込む部屋の中、一人の少女がベッドの上に起き上がり、のびをした。 ベッドから出てカーテンを開けると眩い光が部屋一杯に広がる。窓から入る光に目を細め、くすり、と少女は笑った。 「いい天気。・・・それにしても、昨夜は不思議な夢を見たわ・・・」 クローゼットへ向かい、身支度を整えながら、少女は昨夜見た、不思議な夢を思い出す。 「そう、最初は何もない・・・ううん、違う。果てのない、宇宙の中に浮かんでいたのよね」 ふと、気がつくと闇の中でただ一人、浮かんでいた。 一瞬、恐怖に襲われかけたがすぐに周囲には小さな銀の砂粒が振りまかれていることに気づき、そこが何もない暗闇ではなく、数多の命を抱いている宇宙だと悟ったのだ。 その時点で、自分が夢を見ていると知った。 何気なく周囲を見回すと・・・何故か、扉が『でんっ』とそこに構えている。 宇宙空間に意味もなくある扉。 はっきり言って、突拍子もないこと、甚だしい。 いくら、これが夢だとしても、だ。 だが、その扉はやはりそこにあったし、何故だか『早く開けろ』と主張しているようにも思える。 ・・・これもまた、思いっきり非常識な感覚ではあったが。 それでも興味の湧いてきた少女は扉のドアノブに手を掛け、それを開け放った。 「・・・何、これ」 その部屋の印象は・・・『統一性がまったくない』である。 誰かの部屋のようであり、何かの執務室のようであり、何処かの居間のようであり・・・とにかく、置いてあるものがごちゃまぜという感じなのだ。 中に入った少女は何気なく、そこにある物の一つを手に取った。 ・・・思えば、それを手にしたのはその品物からある人を連想したからだろう。 そして、不思議の扉が開く−−−。 |
さぁ、扉を開けて下さい