My Angel〜緑の腕(かいな)〜


『ねぇ、僕のこと、好き?』
『もちろん、大好きですよ』

 優しくて、可愛いアンジェリーク。
 大好きで・・・とても大好きだけど、アンジェリークは僕だけの天使じゃない。

『マルセル様!パイを焼いたんです。一緒に食べませんか?』
『本当?うわぁ、嬉しいなぁ』
『うふふ。マルセル様のお好きなチェリー・パイです。頑張っちゃいました』

 にこにこと笑うアンジェリークを見て、そして僕の好物を覚えていてくれたことがとても嬉しくて、君のことがまた、好きになる。

 でも。

 くるくると変わる表情と、きらきらと光る金の髪がとても眩しく見えるようになったのは、いつからだったんだろう。

 初めて君を見た時から気になっていた。
 優しい笑顔が好きで、綺麗な笑い声が好きで、君の周りはいつもきらきら光っていた。
 僕の友達達も君が好きで、すぐに仲良くなったね。
 僕の友達達を紹介するつもりだったのに、仲良くなった君達を見て、焼き餅を焼いたっけ。

 アンジェリーク、僕は本当に君が好きだよ。
 でも、君はまだ、エリューシオンの天使なんだ。
 僕だけの天使ではなく。

 ねぇ、アンジェリーク。
 いつか、きっといつか、君を抱き締められるようになるよ。
 この緑の腕で抱き締めるよ。

 そうして、言うんだ。
 君を愛している・・・って。

 いつか、きっと・・・


END