My Angel〜水に揺られ〜


『貴女は・・・私が好きですか?』
『好きですよ、リュミエール様』



 アンジェリーク。天使のような貴女。
 貴女は私が好きだと言いましたけど、私が言う『好き』とは意味が違いますね。



 無垢で、無邪気で、真っ白なアンジェリーク。
 貴女はまだ、『恋』を知らない。



 懸命に、真摯に。精一杯の愛情を持って、貴女はエリューシオンを見つめている。そんな貴女を、私は見つめている。
 素直に、正直に。疑う事を知らないような態度で皆と接し、皆に愛情を振り撒いている貴女。私は嫉妬に捕われながらそれを見ている。



 前を見て、未来を見据えて、逃げる事なく受け止めようとする心の強さ。
 ひたむきに試験に取り組むいじらしさ。
 惹かれて・・・どうしようもないくらい、貴女に惹かれ、私の心は水に揺られるように揺れています。



 何度、言おうとしたでしょうか。
『貴女を愛しています』
 どんなに、言えたらいいかと思った事でしょうか。
『私だけを見て下さい』



 でも。言えませんね。
 この言葉を言えば、貴女は困ったように笑い、そして何日も悩むでしょうから。
 私の事を、私が貴女を想う程には想っていてくれてはいませんから。
 この言葉は貴女を困らせるだけ。
 だから、言いません。・・・今は。



 貴女がいつか、私だけを見つめてくれるその時に、言いましょう。
 その為に、今はただ、見つめていましょう。



 いつか・・・そう、いつか。
 貴女が私を見つめてくれたら。
 優しい水に揺られるように、私は貴女を愛しましょう。
 優しい貴女を包むように、私は貴女を愛しましょう。



 それまでは、エリューシオンの天使。
 そして、いつかは私だけの天使。



 ・・・愛しています・・・アンジェリーク。





END