SECRET・HEAVEN
たとえば世界が許さない感情だとしても、有り得ぬ筈の永遠に誓いを立てる程の強さ故に、この想い、唯一人へと続く。 願うことは 罪にまみれし欲望 この腕の中へと・・・・・ 思うことは 禁断の未来のその先 誰でもなく自分こそが・・・・・ 舞い降りた天使 遥かな天よりの御使いたる者 隠された天姿 いまだ残る幼さ故にこれから花開く天稟の容姿 秘められた天賜 天より与えられし愛される素直な心 見守るだけの神になどなれない 雨の降る道は何処へ続くというのか? 薄く視界を阻む雨の薄絹 先の見えぬ未来のように・・・・・ 髪より滴り落ちる雨の滴が足元に堕ちる。 『・・・・・』 何処か遠くから響くような、砕け散る音 「世界などいらない」 世を呪う言葉が唇をついた 金 なびく髪に美しい輝き 翠 潤んだ瞳に優しい光り 紅 艶めく唇に麗しい笑み スベてをワがモノに・・・・・ 似合う筈もない両手いっぱいの花束を抱いて 出来る筈もない愛の告白 叶わぬ願いであろうとも・・・・・ ア・イ・シ・テ・ル 心の中の最も深い楽園に住まう天使 腕の中に閉じ込めて、誰からも遠ざけ、誰にも見せず 永遠に自分だけのものに 愛してるから 守りたい 愛してるから 傷つけたい 相反しながら その根源は同じで 守りたいのか?傷つけたいのか? だが何よりも、愛して欲しい・・・・・ アンジェリーク ANGEL 天の御使いよ どうか、私を救って欲しい 清純なカラーのように清らかに 咲き誇る薔薇のように薫り高く 風に揺れる菫のように無邪気に 天使は何も知らずに微笑むばかり 願うのは共に在る明日 そしてその先 未来と呼ばれる時間 今という時間を紡ぐが故に過去と呼ばれる時間に得た物全てをなげうってでも側にいて欲しい ナニモカモスベテアタエヨウ ソウスルコトデコチラヲフリムイテクレルトイウノナラ イクラデモアタエヨウ 幾らあがなおうともあがなうことの出来ない その微笑みの為ならば そこは二人だけのSECRET・GARDEN 笑いさざめくように、風に揺れる野の花 「綺麗ですね」 心からの感嘆の声に、彼は薄く笑う。 「ここに気がついていたのは私くらいのものだろう」 物思いに耽る者のような密やかな声が風に乗る。白い指先が名も知らぬ、だが可憐な花を一輪手折ると傍らに在る少女の金色の髪に無造作にさした。 「有り難うございます」 輝くような笑みを浮かべて嬉しそうに花を押さえる少女は、始めて見るような不思議な感覚を青年に与える。 「ここのことは秘密にしませんか?何だか皆に教えてしまうのは勿体ない気がしてしまうんです」 コロコロと表情の変わる幼い悪戯っ子のような無邪気な笑みに、彼に出来るのは頷くことだけ。『お前がそう望むのならば』と。 無限に続きそうな野原に戯れる天使の姿を切ない瞳で包み込むように見詰める青年は、こちらを振り向いて軽やかに近づくその姿に首を傾げる。後ろ手に何かを隠している? 「どうぞ」 愛らしい笑顔で白詰め草のクラウンを授けるのは、まさしく地上に舞い降りた天使 驚いたように目を見開く青年の姿がことのほかおかしかったのか、弾けるような快活な笑い声が小さな唇から漏れる。 「似合いますよ」 『そんなことあるか』と思いながら、白を主としてアクセントに赤の使われた王冠を外してしまう青年に、不満そうに少女は唇を尖らせる。 「私よりも、お前にこそ似合うだろう」 手作りらしくところどころ歪んだサークレットを、だけれど彼は座っているが為に近い位置にある膝の上で大切そうに撫でる。 「だがこれは、お前から私へと贈られた物。確かに貰っておこう」 『ふわり』 氷の美貌が綻ぶ。ほんの少しだけれど、確かに。 「てへっ」 嬉しそうに照れ笑いを浮かべる少女の姿に、押さえ難い劣情が悲鳴をあげる。 これ程までに近くに在りながら、触れることすら出来ないだなどとは如何なることか? 知っている、分かっている。純粋に人を愛することを知っている少女の心など。 だから、その指に触れることすら躊躇せざるを得ない。 自分の想いを知った時、少女は自分の心を曲げるだろう。愛されることを知っているその心は、同時に相手を愛することを知っているのだから。この想いは重荷になろう。愛し返さねばならぬと思い込んで・・・・・ 冗談ではない、そんな感情いらない!欲しいのは、まっさらなそのままの少女自身だ。 少女を正視することに耐え切れず俯いた青年を、少女は青年の前に座って見上げる。彼はそれに気がつかない。 ためらう数瞬、決した一瞬、行動に移した刹那 唇に唇が重なる 「貴方が好きです」 全てが、彼の中にあった世界が音を立てて壊れる 「お前が、私を?」 それ程の衝撃 確かめずにはいられない 「私は、貴方が好きです」 嘘なんてない言葉 突然の攫う抱擁は痛い程なのに、少女は艶やかに微笑む。 耳元で囁かれた言葉、その万感込められし言葉故に。 「有り難う」 そして、唇が近づく・・・・・ その腕の中 彼女が微笑む場所 その腕の中 誰からも隠された場所 その腕の中 全てから隠された場所 この腕の中 二人だけのSECRET・HEAVEN END |