お茶会


 メイは無造作にクッキーを口に放り込む。
 もぐもぐもぐ
「うわ〜、このクッキーおいしい♪」
「えぇ。アイシュの焼いたクッキ−、とってもおいしいですわ」
 私はクッキーを片手にニコニコと笑いながら、恒例のお茶会を楽しんでいますの。
 真っ白なテーブルクロスの上には、シオンから頂いたチューリップが1輪ざしに飾ってあり、その周りにクイーンメリーの紅茶、そしてアイシュの焼いたクッキーとイチゴのショートケーキが並べられています。
 うふふっ(#^.^#)
 こんな日差しの暖かい日に、中庭で行われるお茶会は最高ですわね。
 しかも、シルフィス、メイ。二人とのお茶会…すごく楽しいですわ。
 この二人となら、くつろげますもの。
「へぇー。このクッキー、アイシュの手作りなんだ〜」
「そうなんですの。今日私がお茶会をシルフィス達と開くことをお話しましたら、用意して下さったのですわ」
「相変わらずラブラブだね〜」
 メイがからかうように言うのを聞き、私はうろたえてしまいます。
 シ…シルフィスのまえで、なんてことをいうんですの、メイっ。
「いっ、いやですわ…。そんなんじゃありませんことよ」
「まぁまぁ。照れない、照れない☆ディアーナの為に、忙しい仕事のあいまをぬって用意する辺りばればれだし〜」
「もぅ、メイったら!からかうのもいい加減にしてくださいましっ」
「あははは…。ディアーナ真っ赤になっちゃって可愛いー♪」
「――――はぁ…」
 それまでお茶に手もつけず、ぼーっとしていたシルフィスがため息をついたので、私とメイは顔を見合わせ、問い掛けます。
「どうしたんですの?何だか今日は元気が無いようですし・・」
「んーっと…何か悩みがあるんだったら、相談に乗るよ?」
「いえ、別にそういう訳では無いのですが―――」
 シルフィスが憂い顔で、力無く微笑むのを見、私とメイは交互に口を開きます。
「そんな顔しちゃ〜もともと綺麗な顔が、もっと綺麗に見えちゃうぞっ」
「えぇ、悲哀を秘めた表情も素敵ですわー」
「…メイ、姫」
「あはは。冗談だってば!でっ、どうしたの?そんな顔しといて何も無いとは言わせないよ」
「―――――――私はそんなに他の人と違うのでしょうか?」
 悲しそうに、ぽつりと呟くのを聞いて、私はビックリしてしまいました。
「え!?それってどういう意味ですの?」
「ひょっとしてまた街で絡まれた……とか?」
「いいえ、そうではありません。ただ…同期のガゼルは、もう皆と打ち解けているようなのに――――私は」
「つまり、あんたが落ちこんでる理由は、皆と仲良く出来ないからなの?」
「―――はい、そうです」
「あははは…。そんなの簡単よぉ〜、シルフィスみたいな綺麗な子が近くにいたら、緊張するに決まってるじゃんっ!」
 シルフィスがどんどん沈んでいくのに、反比例するように私とメイのボルテージは上昇していきます。
 だって、シルフィスがあまりにも可愛いことで悩んでいるんですもの(はぁと)
「あの、メイ。私は女では…」
 焦ったように、言うのを聞き、私達は頷き合って、
「そんなの関係無いってばっ!!ね、ディア?」
「ええ!!シルフィスほど美しければ、近寄りがたくて当然ですわっっ。私も一目見た瞬間、恋に落ちましたもの(はぁと)」
 私は、ほほを薄く染めて、うっとりした表情で言いますとシルフィスは、驚いたように目をまんまるくさせて、言葉に詰まります。
「え?えぇ??こ、恋って、姫にはアイシュさまがいますし、私は…」
「いやですわ〜。愛はひとつとは限りませんわっ。それに、アイシュは独り占めですけど、シルフィスは、メイと二人占めですしっ」
「あ、あの〜、二人占めって…(^_^;)」
「うふふ…。シルフィスは私たちのこときらい?私とメイはだーい好きですわ」
「うん、シルフィスって、妙なところで悩むし、生真面目だしそんなに綺麗なのにコンプレックス持ってるみたいだし何だか見てて飽きないのよね♪」
「それって、けなしてますよ」
 シルフィスはキッパリと言い切ります。
「あははは。ごめ〜ん、でもそんなところもぜ〜んぶひっくるめてだ〜〜い好きだよっ(はぁと)」
 シルフィスは、溜息をつき、苦笑しつつ言います。
 そんな様子は、いつもより大人っぽく見えて、カッコイイ。
 …シルフィスは、本当にどんな表情もさまになりますわね。
「……私はどのように返せば良いんですか?」
「うーんと、軽い気持ちで良いよ。私たちも別にシルフィスをどうこうしようって気は無いし」
「ええ。安心してくださいな」
 私とメイは中央に座るシルフィスに対して、にっこりと微笑み、交互に喋りかけます。
 すると、シルフィスは真剣な表情で、私達をじっと見ると、固い口調で断言しました。
「姫とメイのことは、勿論好きです。好きでなければ、親友になどなれません」
「き、気真面目な答え…。ま、らしいか」
「そうですわね」
 私達は、微苦笑して、言い合わせたかのように同時に席から立って―――。



「ちゅっ」
「姫っ、メイ!!!!!?????」
「うふふふ…。これから先、どんな相手が出来たとしても、親友は私達だけですわよ?」
「これは、誓いのしるしねっ」
「……………はい」


おわり

(言い訳)
何故、こういう展開になったのか自分でも
さっぱり分かりません(>_<)
た、たまにはこんな三人もいいのでは?
なんて…あはっ(^_^;)

「ディアーナ、メイ→分化前シルちゃんの創作を読みますか?」というお言葉に即座に飛びついたイリス(笑)
もうもうもう、三人娘が可愛い〜(^○^)
ひとみさん、どうも有り難うございました〜。