過ぎ行く季節


 あれから、毎日は穏やかに流れている。
 それは驚くほどだった。何がどう変わってしまってもおかしくはないのに。そんな彼の焦慮とは裏腹に、誰も、何も知らないかのように、日常は 過ぎ去ってゆく。
 そう、ディアーナでさえも。まるで、何もなかったかのように、今までと 何も変わりなく、お兄様、と明るい笑顔を向けてくる。それを見ていると、あのことは、夢であったのではないかとの錯覚さえ目の前をよぎる。
 誰も、知らないだけなのだ。セイリオスは、ディアーナに、そう、兄妹の 法を超えた愛慕を抱いていた。それがいつごろ生まれたものか、彼自身も知らないほどに、それは自然にそこにあった。
 彼は、その思いを否定はせずとも、肯定もしなかった。ただ、そこに あるもの、あまりにも自然に生まれたものとして、彼はその存在とともに生きてきた。そう、例えば決して叶うことのない初恋のように。甘い 思い出として一生胸に抱き続けるかなわぬ恋のように、それはそこにあるはずだった。
 セイリオスは、ディアーナを抱いた。そう、一週間ほど前の話だった。

 「お兄様」
 弾けるような華やかな声とともに、彼の部屋に現れたのは、彼の妹。彼が、年の離れたこの妹をことのほか愛おしく思っていることは、誰でも 知っていることだ。ただ、その裏に秘めた、よこしまとも言える思いに気づく者はない。
「ご覧下さいませ、薔薇が、咲きましたの」
 ディアーナはその細い腕に、大きな薔薇の花束を抱えていた。橙色のそれは大きく膨らみ、蕾から大輪の花へ変わる、ちょうど中間の時期にあった。 薔薇は、この瞬間が一番美しい。
「お兄様にお目にかけようと思って、切らせたのですわ」
 切ったばかりであろうそれは、まるでまだ根がついているかのように 瑞々しい潤いを失ってはいなかった。セイリオスはそっと指を伸ばす。花びらに触れると、水滴がついた。
「綺麗なものだな」
「ええ」
 ディアーナはにっこりと、抱えた薔薇よりも華やかな笑顔を見せて、そして 花瓶を探して部屋を巡った。
「確か、ここにあったはずですわよね」
 兄の世話を焼くとき、ディアーナは決して侍女に手を触れさせなかった。 花瓶を探して、水を満たし、薔薇の茎を浸す。それらを喜々として手ずから行なった。
「綺麗でしょう、お部屋が明るくなりますわ」
 机の上に据えられた花が、部屋を彩った。ディアーナは得意そうに腰を 反らせてセイリオスの方を見て、そしてにっこりと微笑んだ。
 その、無邪気なまでの微笑みが、セイリオスを不安にさせる。
「ディアーナ」
 薔薇よりも可憐な彼女を腕に抱き取った。ディアーナは、抵抗はせずに 抱かれたものの、セイリオスの背に手を回してそっと言った。
「誰かが、見ますわ」
「……」
 ディアーナの声は恐ろしいほどに冷静だ。焦燥を抱えているのは己のみか。セイリオスは腕を半分だけ解いて、そしてディアーナの瞳をじっと 見下ろした。
「…愛してるよ」
「……わたくしも、ですわ」
 はっきりした声で、そう言った。そしてセイリオスの腕を優しく解いて、 彼との間に抱擁一つ分の距離をとった。
「愛しておりますわ、お兄様」
「変わらずに…?」
「ええ、ずっと、変わらすに」
 ディアーナはセイリオスの表情に視線を注ぎ、そして悲しげな笑みを 浮かべた。
「わたくし、夢を見るんですの」
 首をかしげて微笑んで。これが、あの子供子供した妹だっただろうかと、 それはセイリオスを戸惑わせるほどの大人びた仕草だった。それはきっと、あの夜からだ。
「夢?」
 問い返すと、また笑顔が生まれた。
「ええ、お兄様に、愛される夢」
 微笑みは、まるでその夢を思いだすかのようにうっとりと揺れた。
「お兄様が、わたくしを愛して下さる夢。わたくしはお兄様の腕に抱かれて、 そのまま眠りにつくんですの」
 先ほど活けた薔薇に視線をやった。まるで、セイリオスから視線を 逃がしたいとでも言うように。
「目が覚めれば、お兄様はそこにはいらっしゃいませんの。お兄様は本棟の お兄様のお部屋にいらっしゃって。わたくしのお部屋からでは、お兄様の元をお訪ねすることも、そう簡単にはかないませんわよね」
「ディアーナ…」
 セイリオスの呟きに、ディアーナは微笑む。
「ですから、わたくしはまた眠りにつきます。お兄様のお部屋まで飛んで いって、お兄様に頭をなでていただいて。そんな夢を、また見ますの」
「…ディアーナ……」
 二人の間に生まれた距離を越えて、セイリオスはディアーナを先程よりも 強い力で抱きしめた。
「…お兄様も」
 それに、ディアーナは今度はもう抵抗しなかった。セイリオスの背中に腕を 回して、それに力を込めて言う。
「…お兄様も、同じ夢をご覧になっていると思っていいんですの…?」
「……もちろんだ」
 それを、どれだけ望んだだろうか。あの夜の記憶さえも、夢であったのではないのかと、惑う時がある。ディアーナをその腕に抱いて、白い肌に唇を 這わせた、夜。
「私とて、思いは同じだ。しかし…」
「わたくしたちの恋は、かなわぬ恋」
 歌うようにディアーナは言った。
「そんなわたくしたちが、未来を願うのは間違っているのですわ。 わたくしたちの思いは、知られてはいけないもの。そんな
わたくしたちには…」
 ディアーナは手を上げた。セイリオスの頬を両手で挟み、それを見上げて 優しく言った。
「夢を見ることしか、許されてはいないのですわ」
「ディアーナ」
 最後の言葉が、矢のようにセイリオスを貫いた。セイリオスは細い眉を 顰め、唇を噛んだ。
「お前は、何故、そんなにも…」
「初めてお兄様への自分の気持ちを知ったときから、そう思って おりましたもの」
 ディアーナの囁きは、深く低い。
「わたくしには、わたくしの思いを声に出すことも出来ないのですわ。 歌えない小鳥の辛さが、誰に分かるでしょうか」
 秘密を語る子供のように、ディアーナは微笑みさえ浮かべながら言葉を 綴る。
「そんなわたくしと、お兄様が思いを共有して下さっていたということは、 身に余る喜びでしたわ」
 ディアーナを抱きしめて、彼女への愛おしさを語った。ディアーナは大きな目をますます大きく見開いて、そこから真珠のような涙をこぼした。
「だからこそ、わたくしたちは、声を出してはいけない」
 ひそやかに、紡がれる言葉。
「愛しております、お兄様」
 ディアーナは、セイリオスの名を呼ばなかった。お兄様、と、まるで常の 兄妹のように呼びかけた。
「これからも、変わらずに、ずっと」
「……ディアーナ」
 ディアーナはセイリオスの腕から逃れた。わずかに乱れた帽子を頭の上に 乗せ直し、髪をなで付けた。
「ご機嫌よう。また、参ります」
 ディアーナはドレスの裾をつまんで会釈をすると、裾を翻して彼の前を 去った。下がらせていた侍女たちを呼び戻す声がする。
 真実は、最高の嘘で隠して、現実は、極上の夢で誤魔化して。それしか 出来ない、そんなことしか出来ない。同じ屋根の下で眠っていても、お互いの夢を見ることしか出来ない。
 きっと、あの日のことも夢だったのだ。ディアーナを抱いた夢、この腕に 招き入れて、口付けて、手のひらで愛でて愛撫して。きっと、あまりにも強い思いが呼んだ夢。
 そんな二人でも、失いたくない。それが夢でも、手放したくない。
 季節が過ぎゆく中、何度、同じ夢を見るのだろうか。

 クラインの隣に、セレスティアという国がある。
 昨今、周辺諸国の関係事情が悪化する中、長きにわたってクラインとの 友好関係を築いてきた国だ。歴史を紐解けば、クラインの王女がセレスティアに輿入れをしたという記録もあるし、また逆もあった。先を たどれば血縁関係も見受けられる、クラインとは最も近しい国と言えた。
 セレスティア公国の皇太子は、セイリオスよりも三歳年下だった。
「殿下」
 御前会議の間で、まずセイリオスに手渡された書簡はそれだった。体調の 悪化により、今ではめったに会議にすら顔を見せなくなった国王に替わって、今や場を取り仕切るのは、皇太子であるセイリオスだ。
「セレスティア公国から、書簡が参っております」
 それを受け取ったとき、ただならぬ予感はしたのだ。それを、 開きたくない。見たくない。それはきっと、自分を追いつめる。
 セイリオスは指先で書簡を束ねる紐を解いた。ばさり、音を立てて、 丸められたそれを広げた。
 そうはしたくないのに。今、動いているのはクラインの皇太子だ。決して、セイリオス自身の意志ではない。見たくない。そう体の奥でもがく音を 聞きながら、セイリオスは頬杖を突いて中に書かれた文字を眺めた。
「なんと」
 家臣の声がなければ、セイリオスはそのまま動けなかったのかもしれない。声をかけられ、何事かと自分の声を待つ存在に我に返った。
「…求婚だ。皇太子殿下から、ディアーナへの」
 ああ、と家臣たちの間から声が漏れた。
「それは、ようございました。姫さまももう十六。お輿入れなさっても ちっともおかしくはありません」
「それに、セレスティア公国ともなれば我が国一番の友好国。姫さまに とっても、クラインにとってもこれ以上のご縁はありませんな」
「セレスティアの皇太子殿が姫さまとお歳が似通っているのも 幸いでしたな」
「さよう、こればかりはどうしようもありませんから」
 一気に色めき立つ声の中で、ただ一人、何も言わなかったのは、 セイリオスだった。書簡を握りしめ、薄く唇に歯を立てて。そんな彼の心中を察することの出来るのもは誰一人としていない。
「殿下、ようございましたな」
 最古参の家臣がそう、声をかけてきた。セイリオスの教育に、彼が 幼い頃から携わり、今なお近臣の地位にいる男だ。
「陛下にも、ご異存はあろうはずはありません。早速、お取り次ぎを」
「…待て」
 セイリオスは息を飲み、そして立ち上がった。
「殿下?」
「…ディアーナの、意見を聞こう」
「……殿下?」
 眉を顰めた彼をちらりと見ただけで、セイリオスは言った。
「ディアーナの意志も、入れねばなるまい」
「そんな、殿下」
 たしなめるように家臣が言う。
「姫さまは、王女ですぞ。このような願ってもいないお話、お断りするような ことがあってはいけません」
「しかし」
「殿下」
 強い声で言われた。
「姫さまにも、ご異議があろうはずがないではありませんか」
「……」
 セイリオスは立ち上がった腰をもう一度椅子に落ち着けた。一回、小さく 咽喉を鳴らし、そして小さく言った。
「ディアーナをこれへ」
 そして、声をあげようとした家臣に視線を向けた。
「…王女とて、自らの未来を自らで決める自由くらい、与えられても いいだろう」
 回りの者は、それ以上何も言わなかった。侍女が呼ばれ、ディアーナへの 伝言が伝えられる。ディアーナがその場に現れるまでの間、セイリオスはじっと身を固くして、ほんのわずかな希望だけで身を支えた。
 ディアーナが、否と言ってくれる希望。そしてその大きな瞳で、自分の そばにいることを求めて訴えかけてくるのを、セイリオスは心ひそかに期待していたのだ。
 そうなれば、我が身はどうなろうとも、ディアーナを守る。ディアーナが、自分への誠心を貫いてくれるなら。自分などどうなっても良かったのに。
 ディアーナは、程なくやって来た。優雅な仕草で会釈をし、会議の間の最も奥にいるセイリオスの元に歩みを進めた。可愛らしい声でこう言った。 お兄様、お呼びですの。
 ディアーナはにっこりと笑った。あの日、ディアーナが持ってきた 薔薇よりも、もっともっと美しい笑顔だった。ディアーナは、口を開いた。
「仰せのままに」
 そして、再び微笑んだ。セイリオスの心の叫びがまるで聞こえないとでも 言うように。
「わたくし、参りますわ」
 その場に倒れてしまうことが出来ないのが不思議だった。

 雨が降っていた。
 細く長い雨脚が、宮殿を濡らしていく。それは夜になっても降りやまず、 それどころか、まるでクラインの大地全てを潤そうとでも言うように勢いを止めなかった。
「お兄様」
 驚いた顔が自分の方を向いた。すでにその姿は夜着に包まれて、真っ白な それはディアーナの肌と見まごうようだった。
「どうなさったのです、こんな時間に」
 そんな、いつもと変わらない口調で穏やかにディアーナは言った。視線を 傍らの侍女に向け、小さくうなずくと、そこにはセイリオスとディアーナ、二人だけになった。
「…そんなに、濡れて」
 ディアーナが、傍らの白い布を取り上げて、セイリオスとの距離を 縮めた。
「中庭を通っていらしたのですね。こんなに雨が降っていますのに…」
 布を頭にかけられて、頬を拭うようにディアーナの手が動いた。それを、 力を入れて掴むと、わずかに震えてディアーナは体を凍らせた。
「…行くのか」
 一言だけそう言うと、ディアーナは瞳を伏せて、呟いた。
「それが、わたくしの宿命ですから」
 そんな重い言葉は、ディアーナには似合わなかった。ディアーナの、 か細い小鳥のような声には似付かわしくなかった。
「お兄様にとっても、それが一番よろしいのでしょう?」
 真摯な瞳で見つめられた。身のすくむような視線を投げ掛けられて、 セイリオスは戸惑いすら覚えた。
「お兄様の、お役に立てるなら」
「……ディアーナ」
 取った手を引いた。ディアーナの体がセイリオスの胸の中に落ちた。 その背に手を回すと、ディアーナも逆らいはせず、そしてわずかに力を込めてきた。
「お前を、行かせたくない」
「…………」
 体に回った手に力が込められる。それは、無言の圧力になってセイリオスを 嘖んだ。
「お前を、行かせたくないのだよ。お前を、ずっと私の側に…」
「そして、どうなると言いますの」
 雨の音が聞こえる。それを縫って、ディアーナはささやいた。
「わたくしが、お兄様のお側に、ずっと置いていただけるとでも…?」
 セイリオスは息を飲んだ。
「わたくしには、お兄様しかおりません」
 肩口に顔を埋めて、ディアーナの声の振動が、肩越しに伝わってくる。
「どうせ、お兄様と永遠に添い遂げることの出来ない身なら、お兄様の一番 お役に立てる方法でお側を去りたいと思ったのですわ」
「………」
 抱きしめた。腕の中にすっぽりと収まるその体は、こんなに小さいのに。 その中に燃える炎の大きさにセイリオスは身を震わせる。
「どうして、そんなに不安にお思いですの」
 ディアーナは、その身を翻した。セイリオスとの間に一歩距離を取って、 そしてうっすらと微笑んだ。
「わたくし、揺るぎない愛など望んではおりませんわ」
 ディアーナの手が、肩にかかった。夜着の肩紐が外された。一つ、そして また一つ。
「わたくしが欲しいのは、お兄様に愛されたという記憶だけですの」
 セイリオスの目の前に、ディアーナの肌がさらされた。それを見るのは 初めてではない。夜目に光る、白の肌。
「………お兄様」
 セイリオスと同じ色の瞳が光った。
「それさえあれば、わたくしは、生きて行けます」
「…ディアーナ」
 その、儚げなまでの体の中にある悲壮な決意に、セイリオスは胸を 突かれたまま、動けなかった。
「それさえあれば、夢を見続けられますの」
 二つの体が一つになって、互いを離さないとのように抱きしめあって。 背中に手を這わせて、指を絡めあって。唇が重なった。深く浅く、何度も繰り返される口付けは、そこにある、今だけは確かな存在を 確認するかのように執拗だった。
「私が、間違っていたのか…?」
 水に濡れた音は、降り続ける雨の音か。
「私が、お前を愛したから。お前を欲したから、お前に、そんな決意を させるほどに追いつめてしまったのか」
「いいえ」
 指を編むようにお互いの存在を感じながら、ディアーナはそんな中でも 微笑んだ。
「わたくしも、お兄様を愛しました。お兄様だけを欲しいと思いました。 罪が、お兄様にあるのなら、それはわたくしもともに」
 重なった体が薄い闇に静かに溶けてゆく。ひそやかに交わされる愛撫が、 雨の音にかき消される。
「…全て、お兄様とともに」
 ディアーナがあげた吐息と、セイリオスのわずかな嗚咽が重なった。 それは、雨の音だ。二人を包む雨の音。
「…覚えていらっしゃいます?」
 セイリオスの胸の中で、ディアーナがささやいた。
「お兄様とわたくしたちが、一緒だったあの離宮で。雨の日には、裸足で表に 出ましたわよね」
「…ああ」
 それは、二人に許されていた唯一の時間。二つの魂が、純粋なまま 結びついていた幸せの記憶。
「乳母に叱られましたけれど。とっても、楽しかったのですわ」
 雨は止まない。二人が交わすほのかな囁きを、かき消そうとでもするように 降り続ける。
「雨が降ると、いつも思いだしますの」
 幸せの記憶。雨とともに綴られるそれは、まるでここにある悲しみを 洗い流すがごとくに二人を包む。
「わたくし、思いだしますわ。雨の時は、必ず」
 胸にすり寄せてきた頬の滑らかさが、その奥にある器官をなでた。
「……明日のわたくしたちは、どこにいるのでしょうね」
 忘れ物のように落とされた言葉。ぽとりと落ちて、波紋を広げた。
「先は見えませんけれど、でも、怖くはないのですわ」
 指が這わされる。
「お兄様が、ここにいらっしゃるから」
 太陽に目がくらんでも。
 その手を、離さない。

 クライン王国の第二王女であった、かの姫君は、隣国セレスティアの 皇太子の元へ輿入れした。やがて来る戦火の嵐の中でも、その両国が常に手を取りあう関係を崩さなかったのは、その婚姻関係の存在ゆえだった。
 やがて王となったクラインの皇太子は、やはり王となったセレスティアの 皇太子が二人の子宝に恵まれたことを聞いていた。
 先に男が、次いで女が生まれたという。
 ディアーナは、兄妹を生んだのだ。まるで、成就するのことのなかった 永遠の愛の具現のように、彼女は二つの魂をこの世に送った。
 兄妹であった二人が出会うことは二度となかった。セイリオスは、ただ、 ディアーナの消息を言葉だけで聞き、妹に会おうとはしなかった。それは、妹の方も同じだった。
 時は移ろい、それでもなお、色褪せぬ記憶だけが胸に宿る。枯れることの ない思いだけが永遠にそこにある。

真実は最高の嘘で。
現実は極上の夢で。

 それだけで、生きていけるから。


END