「白龍の娘」

暗闇の中、闇よりも尚暗いモノがゆっくりとひとところへ向かって移動していく。
常人には見えない、一種の異形のモノ達。操られるままに一つの部屋へとたどり着いた異形は堅く閉じられた扉を嘲笑うかのように、スルリと隙間から進入する。
そして、己が狙う獲物へと飛びかかる・・・はず、だった。
「ほう、異形のモノでも驚くということがあるのか」
皮張りの座り心地の良さそうな椅子に一人の青年が座っていた。
明るく照らされた照明の下、青年が持つ冷たいほどの美貌が余すことなく晒される。
軽く足を組み、右手に掲げるのは異形を滅する呪符。
「私の大事な人を狙ったのだから、それなりの覚悟はしているのでしょうね?」
青年が座る椅子の後ろから青年の首に腕を絡め、脅える風でもなく異形を見据える少女がいた。
黒いワンピースドレスはシンプルだからこそ、少女の清冽な美を輝かせる。
文句のない美少女はくすくすと笑いながらもその瞳は物騒な光を浮かべ、相対する異形を・・・背後で操る者を見据えていた。
「蘭を狙った代償・・・払ってもらうわ」
その言葉と同時に呪符が飛び、異形のモノ達は異臭を放ちながら溶け崩れる。その異臭に眉を顰めた少女が指をかざすと清らかな白光が辺りを染め、清々しい空気を運んできた。
「・・・それが白龍の娘が持つ浄化の力か」
「そういうこと。まだ、色々と特殊技能はあるけどね。で、私の半身で対が従姉妹の蘭」
「黒龍の娘だな」
「まったく。白も黒もあってこその繁栄だっていうのに、何を勘違いしているのかしらね」
ここ数日の騒ぎを思い浮かべ、少女の瞳に怒りが浮かぶ。
「それが人の欲というものだ」
冷静に指摘する青年に少女は同意の頷きを返した。青年の首に絡めている手を解き、青年の右手を取る。先程まで呪符を翳していた右手を。
「ま、とりあえずは一見落着、と」
パンッ、と青年の掌と自分の掌を打ち合わせ、少女は誰もが惹かれずにはいられない、魅力溢れる笑顔を浮かべた。

ヨーコ様が開催された泰明祭りのラリーを苦労の末、クリアした賞品です。
このイラストを見た瞬間、本当に苦労したかいがあったと・・・(しみじみ)
スーツ姿(加えて不敵な笑み)の泰明さんは格好いいし、ドレス姿のあかねちゃんは可愛いく色っぽいし♪
本当に創作意欲を刺激されるイラストですね、コレ。