「んー・・、今日もイイ天気だなー・・」
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朝の着替えを済ませて、思いっきり背伸びをしているこの人物こそ、京の(すんげーメーワクな自分勝手な)都合でこの世界に呼ばれちゃった、ここではちょっとした有名人・竜神の神子様である。
「さて・・・今日はどうしようかな?」
こんなイイ天気に怨霊退治はつまんないよね、などと独り言を言っていると御簾の向こうから声がかかる。
「神子様、おはようございます。もう起きてらっしゃいますか?」
「えっ、ああ、うん。起きてるよ。」
「失礼致します。」
そういってあかねの前に現れたのは、とても10歳とは思えないほどしっかりした〈しすぎてるゾ〉神子様ばんざい・藤姫である。
「おはよう、藤姫。今日はまだどうするか決めてないんだけど・・・」
「そうですわね。今日はとてもいいお天気ですものね。」
「そうなんだよー。こんな日ぐらいゆっくりしたいなー・・とか」
「思ってらっしゃる訳ですわね。」
「・・・・・・エヘッ・・・・・駄目かなぁー・・?」
上目づかいで、首なんかちょっと傾げてみたりして聞いてくるあかねに、神子様ばんざい、神子様激LOVEの藤姫がやられないハズはなく、
(神子様、なんておかわいいんでしょーーーー!!!)
なんて思ってても表情には出さず、
「いいえ、神子様はいつも大変がんばっておいでです。たまには 息抜きもよろしいかと思いますわ。」
とにっこり笑顔で答える。その答えにあかねは満面の笑みでいう。
「ほんと!!ありがとー藤姫っ!!」
「!!」
(神子様〜〜〜〜〜〜っ!!かわいすぎですわーーーーーっっ!!!)
〈なんて危ないお子様だ・・・・〉
などと一人で盛り上がってる藤姫を気にもとめず、あかねちゃんは今日一日どう過ごすか思案中のようである。
「おーい、あかねーーー」
そこに聞こえてきたのはあかねと同じく京に連れてこられた一人、シスコン兄ちゃん地の青龍・天真である。
「どーしたの?天真くん?」
「いや、天気イイし、どっか行こうと思ってサ。お前誘いに来たんだよ。」
「ホント!?」
「!!あっ、ああ・・・///」
(くっ・・・かわいいぜ・・・・・あかね!!)
にぱっと笑った神子様にコイツもやられているようです。
「どこ行く?ねえ、どこ行く天真くん?」
「そうだなー・・ふたりで・・・」
『あかねちゃん!!』
「えっ?」
ドカッ!!!
「ぐはっ!!!」
「えっ?!て、天真くん?!」
いきなり目の前に倒れた天真にパニックのあかねに声をかけたのは、同じく京にやってきたぶりっこ地の朱雀・詩紋である。
「あかねちゃん、僕とピクニックに行こうよ!!」
「し、詩紋くん・・・だ、で、でも天真くんが・・・・」
オロオロしているあかねに詩紋は僕は何もしりませんとばかりの笑顔で言う。
「あれ?天真先輩こんなとこで寝てどーしたんだろうねぇ?」
(天真先輩には悪いけど、僕があかねちゃんと出かけるんだ)
「きっと、睡眠不足だったじゃないかなぁ。」
〈天使の顔をした悪魔とはコイツのことだろう・・・〉
「そ、そうなのかなー・・」
〈そして、しっかり騙されつつあるあかねちゃん〉
足元にのびている天真を何気に蹴りつつ、あかねを誘う。
「だからあかねちゃん!僕とピクニックに行こうよ!!」
「ピクニック?」
「うん!お弁当も作ったんだよ!!」
「本当!!!わーい!うれしー!何入ってんの?!」
瞳を輝かせながら尋ねて来るあかねに詩紋、
(あ、あかねちゃん/////年下でもOKだよねっ!!///)
などと訳分からん内心でも、コイツもちゃっかりあかねちゃんLOVEな状態にしっかりなっちゃっている様である。
「えっ///えっとねーぇ、たまごやきとか・・・フキの煮物とか・・・」
「たまごやきー?えへっ、だーい好きーーー!!」
「/////////////////」
〈別にお前に言った訳じゃないけど〉顔を真っ赤にしている詩紋。
「じゃあ、早く行こう!!詩紋くん!!」
「・・・えっ・・・ああ、うん!そうだ・・・ねえ゛・・・」
ドサッ・・・・・・・・
「えっ?・・・・・・・詩紋くん?・・・」
天真に引き続きいきなり意識のない詩紋にあかねちゃん現状理解出来ず。
倒れた詩紋の後ろから出てきたのは女の子顔負けぶりっこパート2天の玄武・永泉である。
その手に握られた笛に、何やら血のようなものがついている所を見ると、詩紋はコレに背後をやられたらしい。
「これはどうしたことでしょう?」
などとしらじらしく言ってみたり。普段笑ってる奴ほど恐い事を平気でやるもんである。
顔は心配です〜と言っているが、心の奥では
(神子はわたくしのものです。・・・フフ・・・貴方達には渡しませんよ・・・)
とか思ってるんだもん。世の中誰を信用していいか判らないよね、まったく。
「永泉さん、どうしたんですか・・・?」
「神子、今日は天気もいいので、どこか景色のいい所で わたくしの笛でも聴いて頂こうかと思い、誘いに来ました。」
〈詩紋はほったらかしか?オイ?〉
「えっ・・・・?」
「何か御用がおありですか?」
「えっ、し、詩紋くんと・・・ピクニック・・・・に・・・」
「しかし、詩紋は御休み中のようですので、わたくしと御一緒下さい。」
〈よく言うよ〉
「え・・・で、でも、詩紋くん・・・・」
「せっかく休んでいるのに起こすのは気が引けますので、 ここはそっとしておきましょう。」
〈お前がやったんだろっ!お前がっ!!〉
「そ、そうかな・・・・?」
〈ま、また騙されてる・・・・〉
「そうです。では、参りましょう、神子。」
けっこうというか、かなり強引な永泉。〈普段からもっとそうあってほしいものである。〉
現状理解出来ないまま、永泉につれていかれようとするあかね。
彼女の頭の中は只今、のーみそ在住のミニあかねちゃん(思考担当)が近所の塀に落書きするクソがきのように、そこらへん一帯に“へのへのもへじ”なんかを書いっちゃったりしている真っ最中。まあ、早くいえば“わけわかめ”〈なんだよそれ・汗〉な状態である。
さあ、あかねちゃんは無事に(?)出掛けられるんでしょうか?!
(つづくのかーーーーーーーーっっっ!!!!!)
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